デス・ストランディング 考察⑩

   今回の考察⑩は、サムが持っているネックレスに関して考察します。

ゲーム内では、このネックレスがどのような役割を果たすのでしょうか?

数式が難しいのでゲーム「デス・ストランディングの世界観」(2次元)と現実世界(3次元)の例えを交えながら考察しますが、解釈が間違っていたら申し訳ありません。先にお詫びしておきます。

まずは、ネックレスの金属片に彫られた数式を考察。役割は後述します。

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アインシュタイン方程式

     重力とは時空の歪みである。

ゲーム➡︎時空の歪みとは、デス・ストランディングのネット環境に繋がることでゲーム内の重力が不安定になる世界観を表している。ゲームの重要なポイント「世界観」のこと。

現実➡︎相対性理論では、電車が移動しているのをホームで見ている人と、その電車に乗っている人がホームから見ている人を見た光景は同じ時間内であっても見えかたや感じかたに微妙なズレが生じることを唱えました。時空の歪みとは、このズレ。

 

EPRペア光子間の量子もつれ関係式

     量子テレポーテーション

ゲーム➡︎ゲーム内のファストトラベル。

現実➡︎私達プレイヤーの世界(現実)からサム(プレイヤー)が待つゲーム内へ

 

反応拡散方程式

     「物質が変化し合う化学反応」と「物質が拡散する化学反応」

ゲーム➡︎デス・ストランディングでは、何かが変化し拡散している。その何かがヒッグスやBT。

現実➡︎情報がネットで拡散している様に似ている。つまり、誹謗中傷、デマという言葉の暴力。

 

ヒッグス場の標準模型

宇宙の成り立ちから、原子/分子/素粒子、空間、重力、宇宙膨張までをも定義する。

     自然界には「4つの力」がある。

光子→磁気力プラスの電荷とマイナスの電荷を結びつける力光は電磁波

強い力核子(陽子/中性子)をくっつける力。この力が無いと水素しか存在しない。

弱い力→放射性崩壊の源。この力が無いと太陽は輝かない。弱い力とヒッグス粒子は密接に絡み合っている。

重力万有引力が無いと、そもそも地球に住めない。

ゲーム➡︎クレーターができるほどの爆発に関連がある。つまり、弱者である私達プレイヤー(サム)とBBがヒッグスと関わることで爆発が起こるということ。

現実➡︎地球という重力場に私達が住んでいる状態を表している。

 

ディラック方程式

「真空とは、負エネルギーの電子が完全に満たされた状態である」というディラックの海(空孔理論)の概念。自然界に存在しないような負のエネルギーが現れる。光による電子と陽電子の生成は、真空中の「負エネルギー電子」が光を吸収して「正エネルギー」状態へ遷移し、あとに空孔(陽電子)を残す。

ゲーム➡︎クレーターができるほどの爆発が起きることで後に残ったのが肉体。つまり、サム、もしくは残された遺体を表している。別の意味では、負のエネルギーに満たされた世界観は外部からの光(BBの能力)を吸収して正のエネルギーに変わりサムを甦らせる。もしくは、サムとBBの能力で死の概念がないBTを成仏させる。サムとBBの能力に関係がある。

現実➡︎欺瞞や誹謗中傷が蔓延しているクソみたいな社会(負のエネルギー)に按配や情(正のエネルギー)が加わることで救われる人がいるということ。

 


シュワルツシルト半径式

ブラックホール諸々を検証する際に使用。

ゲーム➡︎ネットに繋がることで重力が不安定になり巨大な怪物に吸い込まれる。そして、爆発と同時に消滅してしまう。ただし、死が無い世界観ではBTとなって彷徨うがサムだけは生還できる。つまり、サムはブラックホールとは対を成すビッグバンでもある訳だ。

現実➡︎先日、日本の研究チームがブラックホールを望遠鏡でとらえました。現実に存在していることが証明されたのです。

 

ラグランジアン密度(量子電磁気学ラグランジアン)

場の理論。光子(電磁波)。

ゲーム➡︎教義の場であるハデス(考察⑦参照)やヒッグスとの遊び(考察①参照)

現実➡︎どう答えていいかわからない。失敗を経験して学ぶと仮定しておこう。

 

ゲージ理論

場の理論。上記のラグランジアンが連続的に起こること。

ゲーム➡︎これまでのゲームで例えるとコンティニュー(Continue:継続)が主な機能として搭載されていたが、デス・ストランディングではコンティニューという概念がなくゲームオーバー(死)が無く、継続していくのではないだろうか。

現実➡︎これも、どう答えていいかわからない。失敗を経験して学ぶんだと仮定しておこう。

 

ネックレスの役割

   量子物理学の数式が彫られた8個の金属片のネックレスの役割とは?

デス・ストランディングの世界観を表し、解決の糸口になる物。

これまでの考察①〜⑨でも度々触れたサムとヒッグスは銅鏡。対称体。プレイヤーであり他プレイヤーでもあるということが、このネックレスでも理解できる。自分が存在している証にもなる。

 

   量子物理学が、ゲーム内でどのような形で関わっていくかはわからないが、少なからず、アインシュタインが信じるスピノザ(哲学者)の神が関わっていくのではないかと予想している。

これまでの考察①〜⑨で、デス・ストランディングの神はDECIMA。運命や行動を管理する何者か(AI)だと触れてきました。それと対象的な思考がスピノザの神。

スピノザが属する神の捉え方は、汎神論(はんしんろん)といわれている。汎神論とは、「神と宇宙」「神と自然」とは同一とみなす哲学的・宗教的立場のこと。万有神論、汎神教ともいわれ古代インドのヴェーダウパニシャッド哲学、ソクラテス以前のギリシア思想、近代においては、スピノザゲーテシェリング等の神の捉え方のこと。

   スピノザの神とは、この世界の秩序ある調和の中に自身をあらわされる神であって、人間の運命や行動にかかわる神ではない。人格神を否定したのです。

   アインシュタイン以前の物理学は、ニュートン力学(物体運動)と光子(電磁力学)には矛盾があり相対しないものととらえられてきた。それをスピノザの神から影響されて考え生み出されたのが相対性理論アインシュタインは、「神の存在を否定し調和の中から生まれる神こそが真理だ」と説いたことで宗教的解釈からの呪縛からの解放を問うたことにもなり、相対性理論は物議を醸すことになる。実際、アインシュタインノーベル物理学賞を授与されるのだが、相対性理論ではなく「光電効果」を量子力学で説明したことで授与される。ボーアが唱える量子力学を否定していたアインシュタインが量子物理学を用いて授与されるという皮肉。アインシュタインからすれば、自身の小難しい思考を説明する為の妥協でしかなかったのです。
 光電効果とは、金属に電磁波を当てると電子が飛び出す現象で、19世紀に発見されてから多くの科学者が説明しようとしていましたが誰もこれをきちんと説明できる人はいなかったのです。

ここで、デス・ストランディングと関係があるのかと言うと、遊びを通じて、黄金仮面の男(ヒッグス)に電磁波(光子:BBとサムの能力)を当てると電子(BT:死がない彷徨う魂、抜け殻、肉体)が飛び出すのです。サム=ニュートン力学、ヒッグス/BB=電磁力学という対比と捉えることもできる。さらに、黄金仮面の獅子やその他の怪物はスピノザ「エチカ」で唱えられている「自然=神」という捉え方もできる。「千と千尋の神隠し」にも通じるテーマです。

 

   皮肉にも、アインシュタイン量子論を否定したことでボーアに論破されるわけですが、この2人の論争が80年代になってようやく量子コンピューターへと紐付いていく。

   つまり、デス・ストランディングのサムが持つネックレスには、アインシュタインの一連の論争とスピノザの神が大きく関わっていると予想します。これまでのゲームのキーアイテムは、石版や水晶といった西洋的解釈が多かったように思います。このネックレスはアジアの勾玉や中南米民族やアメリカ先住民のアクセサリーのような先史代から伝わる形状にしたのは、受け継いでいくべき物という意味を込めたかったのかもしれません。すなわち、一元論二元論にも紐付いていきます。

尚且つ、アインシュタインはもとより、ヒッグス率いる分離破壊主義者(オルト・ライト/暗黒啓蒙)、啓蒙思想、近代科学の祖ロジャー・ベーコン、中世暗黒説を唱えた哲学者フランシス・ベーコン、中世〜近代〜現代の科学と哲学が関係があるように思います。Wikiってみてください。全て繋がってますよね。

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スピノザ『エチカ』 2018年12月 (100分 de 名著)
 
スピノザ (平凡社ライブラリー)

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エティカ (中公クラシックス)

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スピノザと動物たち

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