Tカードの会員情報を令状なしに捜査当局に提供
Tカードを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が会員情報や購入履歴を捜査令状なしに捜査当局に提供していたことがわかりました。
Tカードの会員数は6800万人。
Tカードの内訳は…
①Tポイントの提携企業で利用するとTポイントが付与され、その飲食店や小売店、その他の提携企業の購入履歴が個人情報に上書きされていきます。
提供企業は179社に及び、今や日本最大の会員数を誇ります。
②TSUTAYAのレンタルの会員登録をするとレンタル会員証としても利用できます。
レンタル登録をしなければ上記①同様に提携企業での利用とTSUTAYAの物販商品のみポイント付与となります。(TSUTAYA加盟企業によって物販に加盟していなければ付与されない場合がある)
TSUTAYAでレンタル会員登録することでレンタル履歴と購入商品の履歴が個人情報に上書きされます。
③Yahoo! IDでTSUTAYAアプリやTSUTAYAオンラインに登録するとレンタル履歴やレンタル商品の返却日を確認できます。購入履歴も見えます。
当然のことながらTポイントの確認もできます。
上記①〜③をもう一度確認してください。
個人で把握しているだけだと思いますよね。実はTカード本部に全ての個人情報を預けているのです。
これだけ大きな規模のTポイント事業となっているのですから、しっかりと会員情報を管理してくれていると思いますよね。
何が問題なのか?
今回の「Tカードの会員情報を令状なしに捜査当局に提供」というフレーズを聞いて疑問に思わない方は騙されてます。
裁判所発行の捜査令状が発行されてからの一連の流れは、その捜査令状があった場合、警察が情報の開示を求めてきますので、令状があるのを確認し捜査に協力するのです。
その令状がない場合は、捜査協力を断ることができます。その理由は、個人情報を預かっている以上、警察といえども第三者に開示できないからです。
また、警察が捜査関係事項照会書を持っていても個人情報を預かっている以上、警察といえども開示できないのです。これは断ることができます。したがって捜査を妨害したことにはなりません。
今回の件で問題になったのは、令状なしに捜査当局に提供です。CCCの言い分は違います。
どういうことか説明します。
CCCの言い分
事態を重くみたCCCはホームページに下記の「お知らせ」と題し公表しました。まずは読んでみてください。
「んっ?!」っと思いますよね。意味不明なのです。勤めだして間もないアルバイトでもこんなことは書きません。素人でもこんなことは書かないということです。事の重大さをわかってませんよね。
意味不明な箇所は下記に赤字で抜粋しているのでご確認ください。
『捜査令状があった場合にのみ、必要最低限の個人情報を提供するという協力姿勢をとってまいりました。』
→「必要最低限の個人情報を提供」ではなく、令状があれば開示しなければいけない。そもそも「必要最低限の個人情報」とは何かということを示していない。これは単なる言い訳に過ぎず、「今までは令状のみ対応してたのに…バレちゃいました…」ということでしょ。令状なしに開示できないのは当たり前のことです。当たり前のことを書くなと言われますね。
『一方、弊社の保有する個人情報は年々拡大し社会的情報インフラとしての価値も高まってきたことから、捜査機関からの要請に基づき、2012年から「捜査関係事項照会書」があった場合にも新たに施行された個人情報保護法に則り、一層の社会への貢献を目指し捜査機関に協力してまいりました。』
→「年々拡大した個人情報は社会的情報インフラとして価値がある」とは、つまり、個人消費で蓄積された情報データだけでなく、膨大な個人情報は産業や生活の基盤だと言いたいのでしょうが、そもそも個人情報は顧客のものです。CCCのモノではなく、インフラですらない。CCCは個人情報を管理しているだけなのです。
「顧客の情報」を「社会的に価値あるモノ」だから管理している弊社が利用して何が悪いと言わんばかりの言葉の置き換え(すり替え)です。勝手な解釈を押し付けている訳です。何か履き違えてますよね。
→「2012年以降、捜査関係事項照会書があった場合にも新たに施行された〜云々」言い訳ですね。個人情報保護法が新たに施行されたから緩和したと言ってますが、CCCが緩和しなければいけない理由はない。毅然とした態度で断ればいいだけです。本来、開示は令状のみですよね。
→「一層の社会への貢献を目指し捜査機関に協力してまいりました。」令状なしの開示は社会貢献だと、これも言葉の置き換え(すり替え)している訳です。
上記の「お知らせ」は誰が書いたのでしょうか? アルバイトでもこんなこと書きません。
個人情報を扱う企業の言い分としては信用できない言葉の羅列で、まず、「お詫び」ですらないのです。
さらにですね…(段々腹たってきた!)
『今後につきましては、T会員のみなさまに個人情報の取り扱いについてよりご理解いただけるよう、個人情報保護方針および、T会員規約に明記するよういたします。』
→規約に明記するから既存の会員と新規の会員には弊社の個人情報保護方針に従って頂きます。
つまり…
「会員規約に明記するからそれを読め!明記している以上、弊社が好きに使っても文句言うな」
「これからも社会貢献の一環として個人情報は提供していく」
この「お知らせ」が、このようにとらえられても仕方がないのです。
何故このような「お知らせ」という形になったのかは世論があまりにも白熱するからなのでしょうが、信用できない企業の在り方を見せる結果となりました。
言い分が意味不明です。「これまでも令状なしで捜査当局に情報を開示してたのは事実ですが……云々。」子供か! 呆れます。
令状がある場合は、刑事事件であるのですから協力するのは仕方がないことです。
令状がない場合で情報を開示し、もし被疑者でなかったということになれば問題です。
令状なしに開示することで冤罪を引き起こすことに繋がるからです。
議論もないまま勝手な判断で規約を押し付けることは企業ですらありません。顧客の情報を得たことで捜査当局に情報を開示を求められることはあったとしても毅然とした対応をお願いしたい。
冷静に考えればわかることです。顧客第一ということです。CCCは生活提案の場なのですから、その場で個人情報という諸刃の剣を振り回さないで頂きたい。
個人情報が社会的情報インフラと断言してますが、言葉に重きを置いて個人情報そのものを扱いきれていないのではないでしょうか。
この案件、非常に残念です。個人情報を勝手に利用されるのであればTSUTAYAを利用するか否か、提携企業も含め、顧客である私達自身が決めることができます。
顧客の判断を問わず令状なしに捜査当局に提出する企業ということは、ある意味、権力に属しているということです。こんな恐ろしいことはありません。
政権が介入でもしているのでしょうか? そんな訳ない! あくまで企業体質の問題ですね。
今後、私はTポイントは利用しません。これだけははっきり申しげておきます。
もちろん、TSUTAYAも利用しません。これは個人の判断ですから問題ないと思います。
ホント残念です。
↓Tカードの会員情報を令状なしに捜査当局へ提供 part.2
https://gegegenobacabon.hatenablog.com/entry/2019/01/23/202223
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