デス・ストランディング 考察⑦
2019年5月30日。デスストランディングの新たなティーザー映像が発表されました。
これまでのティーザー映像のキーワードをもとに考察した内容は下記のリンクを参照下さい。↓
デス・ストランディング 考察① https://gegegenobacabon.hatenablog.com/entry/2018/07/19/163435
今回のティーザーのキーワードは、「分断」「エッジ・ノット・シティ(Edge Knot City)」「分離破壊主義者(Homo Demens)」「BB(bridge Baby)」「ミュール(mule)」「地獄(ハデス)」。
小島ゲーム独特の世界観を醸し出す造語がたくさん出てきました。スターウォーズの世界観みたいですね。
さらに主要人物の名前も正式に公開されました。
●サム・ポーター・ブリッジス(SAM PORTER BRIDGES)
ノーマン・リーダス(Norman Reedus):津田健次郎
●クリフ(CLIFF)
マッツ・ミケルセン(Mads Mikkelsen):山路和弘
●フラジール(FRAGILE)
レア・セドゥ(Léa Seydoux):水樹奈々
●デッドマン(DEADMAN)
ギレルモ・デル・トロ(Guillermo del Toro):石住 昭彦
●アメリ(AMELIE)
リンゼイ・ワグナー(Lindsay Wagner):井上 喜久子
●ブリジット大統領
リンゼイ・ワグナー(Lindsay Wagner):井上 喜久子
●ママー(MAMA)
マーガレット・クアリー(Margaret Qualley):坂本 真綾
●ハートマン(HEARTMAN)
ニコラス・ウィンディング・レフン(Nicolas Winding Refn):大塚 芳忠
●ダイハードマン(DIE-HARDMAN)
トミー・アール・ジェンキンス (Tommie Earl Jenkins):大塚明夫
●ヒッグス(HIGGS)
今回も上記キーワードをもとに考察していきたいと思います。この考察もゲームの一環ですからね。ゲームに参加しているのです。間違っていてもゲームオーバーになりません。
今回発表されたデス・ストランディングのストーリーの軸となる「分断」をテーマに考察してみたいと思います。
分断
「分断」とは、そもそもなんなのか?
わかりやすい動画があるので紹介します。この動画は、日本とアメリカの事例をもとに、あくまで中立的な立場の目線ですのでご自身で考えて頂きたいと思います。
↓ニュース23 「先鋭化する言葉、“分断”を阻止するには?」
「狂人化した売国奴」「ネトウヨなるゴミクズ」ネット上で使われるこうした言葉が今、人と人、社会の間に分断を生み出しています。一方で、これを阻止するための最新の試みも始まっています。(抜粋)
非常にわかりやすくまとめられています。
現在の日本の差別意識の現状は、平成が共同体の崩壊を招いた時代。その崩壊から「不安と鬱屈」にさいなまれたかわいそうな人たちが増大し、その「不安と鬱屈」の埋め合わせをする為に、「排外的/攻撃的」な行動を取るようになった。その行動を巧みに利用して煽る者が現れた事例が映し出されてますね。煽る者は優生思想に紐付いた生産性というなんの根拠もない言葉を発し排除しています。
日本のネトウヨは差別意識の上に乗かって他者を叩いているだけのクズです。根拠がない差別で煽ってます。アメリカ合衆国は移民政策が絡み、ヘイトの口実を作ってしまいました。
しかしながら、これらを考える上で間違っていることに対して中立的な意見を述べればいいのか?という疑問も残ります。「二律背反なもの言いで誤魔化すな」「ダメな物言いはダメだ!」と「具体的に何がダメなのか」ハッキリ答えるべきです。皆さんはどう感じました?
おおまかに「分断」を述べましたが、その背景や要因は後述します。
今回のティーザーのポイントはデス・ストランディングのテーマでありストーリーの大きな軸が発表されたことです。
「アメリカ合衆国の分断を背景に他者との繋がり方を提示するゲーム」だということです。考察①〜⑥で提示した「他者への思いやりや按配(あんばい)」ということです。
アメリカ合衆国を描きつつ世界中に蔓延る「排外的/攻撃的」な行動とは何かを描くということです。
上記、映像を見ればわかるように、もはや暴力でしかない現状を打破する為に事実を定義しながら考察してみたいと思います。
その理由は明確です。デス・ストランディングとは、そういう場であるのです。詳細は後述します。
では、そもそもアメリカ合衆国の分断とはなんなのでしょうか?
アメリカ合衆国の分断の要因は「外側」と「内側」に潜んでいます。これも後述します。
分断の歴史的な事実
1498年、新天地を求めアメリカ大陸を発見し、ヨーロッパの大国が入植し始めます。決め手は1620年メイフラワー号で入植したピューリタン(清教徒)を皮切りに続々と入植していきます。ユートピア(理想郷)を求めやって来るのです。
トマス・モア「ユートピア」で提唱された造語。[u (無) + topos (場所)]
その後、1773年ボストン茶会事件を発端にイギリス・キリスト教議会と人々の間で租税が原因で大揉めします。
日本は税金が上がっても何も言いませんし年金もどうなるかわからないのに何も言いませんよね。どうかしてます。
当時、入植した人達の怒りは積もり積もって爆発します。1776年7月4日アメリカ合衆国として遂に独立するのです。
先住民から土地を奪って分断を招き、その土地を耕す為に移民や奴隷を利用し、また新たな分断を招くことになります。
考察①でも記載したように「人間としての尊厳」を奪われてしまった。その尊厳をサム・クックやジェームズ・ブラウン、ニーナ・シモンは歌にしました。
デス・ストランディングのティーザーでマッツ・ミケルセンさん扮するクリフも歌いますが、歌とは何かを想い歌うのです。言葉がない時代、先に歌があったのかもしれませんね。
人間は進化の過程で言葉を作り主義主張を唱えるようになります。人から人へ伝えていくのです。今も人種差別意識は負の遺産として根付き、ミームとして残っているということになります。
キング牧師の言霊。暗殺される前日の生前最後の演説、要約すると「山の山頂へ登ることを許され山の向こうの約束の地が見え、その地へ皆さんと一緒に行くことはできないかもしれないが、ひとつの民として必ずやその地に到達する」と締めくくってます。
そのミームがサムにさせているのかもしれませんね。
また、アメリカ合衆国は入植以来、いまだ銃社会。白人警官に黒人というだけで銃で撃たれる社会。学校や公共施設では無差別に銃を乱射する社会。ここにも排外的で鬱屈した思考が暴力を引き起こしてます。
人種偏見、人種差別意識は、映画「アラバマ物語」(原作小説:「To Kill A Mockingbird 」ハーパー・リー著)でも描かれています。人種差別意識がもとで無実の罪をでっち上げられます。主人公スカウトの父アッティカスは弁護士。アッティカスが冤罪を晴らそうと奮闘するが…後は映画観てください。
続編の小説「さあ、見張りを立てよ」(Go Set a Watchman)はエグい内容です。大人になった主人公スカウトが故郷に帰ってきます。スカウトが子供の頃に人種差別や偏見と闘っていた尊敬するあの父が白人至上主義者になっていたのです。空いた口が塞がりませんでした。続きは読んでください。
本来、この続編が正統なアラバマ物語だったようです。編集者は、あまりにも過激な内容だったので封印し書き直させたのが1作目の「アラバマ物語」だそうです。主人公スカウトを子供に設定し弁護士である父が虐げられた人を助けるストーリーに変えさせたのです。つまり、ヒーローものです。理想の父親像や良心を書かせたのですから編集者は優秀ですよね。時代の空気を読んだのでしょう。差別意識が高かった時代ですから教義になったのです。素晴らしい。
でも、作者本人が2015年になって、このオリジナルを続編として出版させました。理由は「差別意識が大きな分断を招いているからだ」というメッセージを込めたのではないかとも思えます。作者ハーパー・リーが描いていた世界が現実になったからだと思います。
普通の人も気づいたら差別する側に立つ可能性もあるということです。新たな教義になったのです。
- 作者: ハーパー・リー,菊池重三郎,Harper Lee
- 出版社/メーカー: 暮しの手帖社
- 発売日: 1984/05/01
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1950年代のアメリカ合衆国のSF作家達がユートピアのアンチテーゼとして「ディストピア(dystopia)」という造語を作ります。
[ dys (悪い) + (u)topia (理想郷) ]
絶望的な終末思想にも通じるものがあります。
その絶望という言葉が事実として、その子孫達が虐げられた悲惨な事実を語り部として受け継ぐ「分断」「人種差別」「優生思想」「虐殺」といった負の世界遺産でもあるアウシュヴィッツ強制収容所も重要です。多くは語りませんが参考本と映画は添付しておきます。負の遺産の語り部達の様々な作品(言霊)をブリッジして私達自身がミームを受け継いでいくことが重要なのです。日本も他人事ではないのです。
増補 普通の人びと: ホロコーストと第101警察予備大隊 (ちくま学芸文庫 (フ-42-1))
- 作者: クリストファー・R・ブラウニング,谷喬夫
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- 作者: ハンナアレント,Hannah Arendt,志水速雄
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考察を続けます。
考察①〜⑥で、世界観はDECIMAの能力(死の概念が無く、管理された世界観)だと考察しました。アウシュビッツの悲劇が影響しているのではないでしょうか。つまり、ノーマンの右手のタトゥーがサムに反映されたことでもわかるように、歴史的事実がデス・ストランディングに反映されている世界観であるということです。
では、デス・ストランディングとは何か? まずはアメリカを知る必要があります。後述します。
アメリカ合衆国の矛盾
現在のアメリカ合衆国の政治は、新保守主義(Neoconservatism:ネオコンサバティズム, 略称:ネオコン)とアメリカ議会が主導しています。
アメリカンドリームと言われるからには夢と希望と自由の実現ができる場所。
実は自由があるようで偏った思考になりがちな社会に陥りやすい側面もあります。メディアが保守的なメディアとリベラルなメディアでわかれているのです。
上記、ニュース23 「先鋭化する言葉、“分断”を阻止するには?」でも紹介されていますが、自分が見たいものだけをピックアップするだけ。それが全てだと信じてしまうのです。見たくないものには蓋をする社会なのです。日本も同じ傾向にありますね。
つまり、考え方が硬いというか頑固というか、知らないことを知ろうとしないのです。不都合な真実は隠す。アメリカは国として独立したフロンティア精神があるのにそっぽを向くわけです。西洋的な考え方で他者を自分の中に取り込む考えがあるからです。小難しい社会ですね。クドイですが日本も同じ傾向にあります。
そのような思考は度々批判されています。
メディアを利用した大嘘キャンペーンです。「イラクに大量破壊兵器がある」とアメリカ/イギリス/日本のメディアが翼賛、もはや戦争がエンタメのようにショーアップされ倫理的にも批判されました。政府がメディアを利用して情報を操作したのは明確なのです。
その後、隠蔽工作をします。そもそも大量破壊兵器が無かった場合を想定しての隠蔽工作をしたのですから国民を舐めきってます。当初、大量破壊兵器など無いと声を上げていた人達の声も搔き消す隠蔽工作をしたのです。メディアも牛耳っているからと逃げ切ろうとした傲慢な行為。ここ日本も隠蔽/改竄/メディア掌握と同じことしてますよね。あっ!文書廃棄/統計不正改竄もありましね。メディアが取り込まれているから真実を伝えない。トランプ大統領が来日して炉端焼きで何を食ったかと、どうでもいいことばかり報道するんですから世も末です。
アメリカ合衆国の軍事は、ソ連が崩壊し冷戦が終結すると「敵」とみなすものが無くなりました。その矛先が中東へ飛び火し、9.11テロが起こる。ネオコンの戦略は「テロへの脅威から守る為の軍備拡張」へと切り替わるのです。これまでの大嘘も正当化できるようになったのです。日本も脅威に対して対話なき圧力とか言ってましたね。ミサイルを飛翔体と言い換えたり戦前戦中の避難訓練までさせてます。異常です。
では、アメリカ合衆国のネオコンが全て悪いのか?!というとそうでもないのです。
ネオコン人脈はマルクス主義者のユダヤ系。ホロコーストの記憶を語り継ぐ人達。文化的多様性を容認する民主党リベラル左派から派生した人脈だからです。ナチスを否定している人達が軍備を整え紛争地帯へ軍隊を派遣し争いを鎮圧してした側面もあるからです。アメコミのヒーローやディズニーと同じなのです。
上記、アメリカ大陸への入植やアウシュビッツとも繋がっている。元々イギリスキリスト教議会から独立したのが現在のアメリカ合衆国です。似通ってますよね。複雑です。矛盾だらけです。
アメリカン・ドリーム
誰もが憧れるアメリカ。これは否定できません。私も大好きです。その例が…
アメリカは大恐慌の際、貧困層を救う為に、現在の金額で年収2億円以上の富裕層の所得に60%以上の税率をかけ富を再分配しました。しかも、第二次大戦中は90%以上まで増税しています。戦後もレーガン政権までは70%以下には下げませんでした。
社会保障もレーガン政権までは充実してました。アメリカ合衆国は富を再分配することで、弱者を見捨てない社会だったのです。
日本は、第二次大戦後、帝国主義の大日本帝国改め、日本として再出発をする際、アメリカの憲法学者が「権力者が暴走し戦争を引き起こさない為に日本国憲法を制定」してくれました。戦争の放棄は憲法で定められています。人権も憲法で守られています。押し付け憲法ではないのです。日本の自称保守政党(安倍晋三です)が「押し付けられた、この忌まわしい憲法を変える。憲法改正で国を取り戻す」とほざいてますが、押し付けじゃありませんよ。このようなことを言って煽る人達の暴走を止める為の憲法なのですから!
戦後、日本はその憲法のおかげで戦争をしていません。
アメリカの社会保障、富の再分配、アメリカの国民を裕福にしました。それを他の国々が良きお手本として真似たのです。
つまり、アメリカン・ドリームとはアメリカ合衆国の民主主義の精神を羨む気持ちから発せられたということです。世界中で真似たのです。
アメリカン・ドリームといっても西洋的な権威をチラホラ覗かせます。
ディズニーランドのシンデレラ城は、どのエリアからも見渡せますが、見せたくない物(他エリアやゴミ)は見せない工夫を施しています。見えるのはシンデレラ城の大ボスだけです。
映画「マトリックス」シリーズも同じ構造です。「マトリックス」はネオコンのメタファーになってます。
ネオコンが主張するテロの脅威で軍備拡張をすることで新たなテロを招き寄せてしまいます。事が起こればセキュリティ不安も上昇させてしまうのです。テロの脅威で煽り軍備を整える。
脅威や理想郷といった不完全なことを仕組まれたということです。
だから、いつまでたってもテロは無くならない。テロという脅威を敵として、それだけを見せて興味を引き、やってる感だして繰り返す。永久的に存続させる仕組み。マトリックスのネオと創造主との関係性。これがネオコン的支配です。
ただし、アメリカも追い詰められているのではないでしょうか。イラク攻撃やイランへの制裁。アフガニスタン攻撃でタリバンを叩くのも追い詰められているから。とうとう狂ったのかと無理な戦争を仕掛けてましたよね。それを正当化する為に一役買ったのが日本です。ネオコン的な支配を日本に輸入しました。
それを真似たのが安倍晋三。北朝鮮の脅威と煽ってましたよね。防衛省が秋田に地上ミサイル基地イージスアショアを設ける為、嘘の報告書を作成したのがバレて大揉め。防衛省の態度も国の怠慢の表れ。安倍晋三は防衛省のせいにしてまた逃げてますが騙されたら駄目ですよ。
石油利権をめぐる中東でのいざこざはアメリカに利権を取られまいとする各国の国益の為のせめぎ合いで今も続いてます。事が起こればアメリカが好き勝手に攻撃をするのですから、各国はそうさせない状況を必死で作っているのです。…にもかかわらず、安倍晋三はイランに何をしに行ったのでしょうか。火に油を注ぎに行ったのでしょうか。海外からもイランことするなと非難されてます。
日本はアメリカに依存せず再生可能エネルギーに切り替えて新しい経済体制構築を選ぶべきですね。イージスアショアも米軍基地も原発もイランねん。
考察に戻ります。。。
このネオコン的な何かを小島ゲームで例えると、MGSの「愛国者達」。
デス・ストランディングでも「愛国者達」のような組織が他に存在し、今後現れるはずです。DECIMAがそれを担うのかもしれませんね。
愛国者達との共通点を紐解くと、MGSのスネーク率いる「国境なき軍隊」が、ダイハードマン(DIE-HARDMAN)トミー・アール・ジェンキンス (Tommie Earl Jenkins):大塚明夫ことスネークが率いるBRIDGESです。
そのゲームシステムは…
MGS PeaceWalker タクティカル・エスピオナージ・オペレーション解説動画↓
https://m.youtube.com/watch?v=ySjGfnkEo_U
基地運営はタクティカル・エスピオナージ・オペレーションが基礎となるはずです。
では、その脅威となる敵とは…何か!
愛国者達のような何か(DECIMA)がブリッジズ(BRIDGES)にテロ組織撲滅を依頼することでデス・ストランディングの大まかなストーリーは進んでいきます。
デス・ストランディング と MGS は表裏一体。似てますね。
そして、その敵であるテロ組織が分離破壊主義者(Homo Demens)です。考察は後述します。
黄金仮面の男 (ヒッグス)
まず、テロを引き起こしクレーターを作る黄金仮面の男は何者かを考察します。
●ヒッグス(HIGGS)
考察①②で、黄金仮面の男はサム本人であると考察しました。
顔がトロイ・ベイカーさんなのですがサム本人でありプレイヤー自身ということです。
デス・ストランディングも1周終わるとMGS Phantom Peinのアバターのようにトロイさんをカスタマイズできるかもしれませんね。トロイさんも小島ゲームの作り手の一人であるわけですから…。
「マトリックス」のネオのようにゲームクリアを何周かしていくうちに、サムは初代からクリアした回数分のサムへと進化継承されていくのではないでしょうか。「マトリックス」では完全なるネオはゲームオーバーになり世界が崩壊します。これがデス・ストランディングの最初の爆発でもあるわけです。
不完全な何かをサムに埋めることで世界は永遠に続く。
その脅威や理想郷なる不完全性がサムの能力でありデス・ストランディングということです。
黄金仮面の男(ヒッグス)が他プレイヤーのサムの世界に繋がることが「座礁」です。
考察④で、「座礁」とは…
他プレイヤーに座礁する際は、4パターンあると考察しました。
①黄金仮面の男となりBTを率いて、「鬼ごっこ&達磨さんが転んだ」に参加
サムはBTにタグ付けして回収。実体化したBTを成仏させる。これがサムの能力。
②黄金仮面の男となって、黄金仮面の獅子を放つ
→プレイヤー自身が行くのではなく、タクティカル・エスピオナージ・オペレーションで獅子を他プレイヤーへ送り込む。
③専用のアプリやゲーム内の水中(ブリーフィング)から、赤ちゃんになって参加。他プレイヤーを導く。
「8時だよ!全員集合」の『志村!後ろ!後ろ!』→「サム!後ろ!後ろ!」
④専用のアプリやゲーム内の水中(ブリーフィング)から、他プレイヤーの遊びを傍観する。コロッセオで見ている観客目線が、あの巨大な影。
上記「座礁」のポイント①〜④全ては、タクティカル・エスピオナージ・オペレーションで実施可能であるかもしれません。
つまり、設定しておけば勝手に事を成すシステム。
デス・ストランディング専用アプリからも派遣できるのです。
ソーシャル・ストランド・システム!!
さらに…もう一つ繋がり方を提示してくれました。
他プレイヤーが残した痕跡👣🐾を辿りクリックすると上記①〜④の座礁ができる。
つまり、フィールド探索時に他プレイヤーの痕跡を見つけ、事が済むと手形のエネルギーがサムに蓄積されていく。そのエネルギーを纏った黄金仮面の獅子を放つことができる。レベルが上がると獅子だけではなく他のクリチャーも送り込むことができる。様々な動物や植物がMASH UPしたクリチャーが出てくると思います。
アダムス・ファミリーの手のように動き回りアイテムを探す。サムを守ったりロケットパンチを放つ。etc…考察が尽きませんね。楽しみです。
分離破壊主義者
(Homo Demens)
現実世界での破壊主義者(vandalism:ヴァンダリズム)とは、公共物や芸術品、偶像などに景観を損なう行為をする迷惑行為者を指します。
イスラム原理主義者には歴史を否定するが故、破壊行為に及ぶ集団もいます。歴史的な建造物を破壊しまくるのです。これは許せない行為です。
分離破壊主義者とは、2面性を持ち合わせています。
2面性のまず1つ目。「分断を招いているクズ」のこと。
つまり、上記、分断の原因を招いている「狂人化した売国奴」「ネトウヨなるゴミクズ」という意味を含んだメタファーになっているのです。
アメリカのネトウヨの傾向として「移民政策」「白人至上主義」「人種差別」「女性蔑視」「LGBT」「優生思想」「歴史修正主義」「誹謗中傷」「デマ(嘘)」
これらをネットで拡散していたのが「オルト・ライト(alt-right:オルタナ右翼)」。
オルト・ライトとは、ネットのみで活動している新たな右派勢力。反宗教。彼ら独特の進化論に紐付いた優生思想を掲げているが、ゲイは容認しています。
アメリカ合衆国の右派勢力の中核をなしているのは、キリスト教保守。つまり、ネオコン。聖書を信じ中絶や同性愛を否定している。オルト・ライトからは「進化論を信じず聖書ばっか読んでる馬鹿」とネットで誹謗中傷の的になっています。
アラバマ州で中絶禁止条例が実施されましたが、根本的な考え方はキリスト教保守勢力(福音派)からの圧力です。
何も理解していなければオルト・ライトが寛容のようにも思えるので言ってることは正しいんじゃないと思ってしまいますよね。騙されたらダメですよ。
彼らが間違っているのは、進化論に紐付けされた優生思想なのです。これが危険極まりない思考。
そもそも、オルト・ライトの思想の根源は「新反動主義」「加速主義」「暗黒啓蒙」。
ドナルド・トランプも影響を受けており自身の選挙基盤に取り込み、「移民政策」で仕事を奪われ排外的になった人達に「アメリカを取り戻す」と理想郷をチラつかせ煽ったのです。結果、ドナルド・トランプ大統領が誕生してしまった。
デス・ストランディングの分離破壊主義者とは、「ドナルド・トランプ大統領誕生の背景となった思想」と「アメリカ合衆国のネトウヨ=オルトライト」のメタファーです。
ゲーム内でドナルド・トランプに似た悪役が出そうです。トランプ政権批判している有名人いますよね。
アレック・ボールドウィン。キャプテンアメリカのクリス・エヴァンス。ロバート・デ・ニーロ。メリル・ストリープ。好きな俳優さんばっかだ。
反トランプ/反オルト・ライトを茶化す意味込めてデス・ストランディングに出演してほしいですね。
では、ネトウヨなるゴミクズ…失礼。黄金仮面の男(ヒッグス)が座礁して遊びをするのですが、「ネトウヨを楽しませてどないすんねん」と思いますよね。違うのです。
遊びを通じてネトウヨに「他者への思いやりや按配(あんばい)」を経験し理解してもらうのです。
サムとブリジット大統領の目的は「分断された共同体:エッジ・ノット・シティ(Edge Knot City)」と繋がり再配分すること。これがサムの課せられた重要なストーリーの本筋。そこにDECIMAやBRIDGESが関わってくる事で表向きは分断された共同体を繋ぐことになるのでしょうが、突き詰めていくとサムもネオコン側に加担していたというストーリーも加わっていくのではないでしょうか。
つまり、崩壊した共同体とサムが繋がっていくこととは、アメリカの歴史で語られている搾取や排除といった事実を前提に描かれているということです。アメリカ大陸に入植し領地を開拓していく過程で搾取があったということです。人種差別がもとで排除を行ったということです。歴史は繰り返しています。サムは板挟みになり苦しむはずです。事実が嘘にならないように、ここは事実として描いて欲しいですね。
あともう一つ考えられるのは、分断されたというよりも、それを望んだ人達もいる。Brexitやリバタリアン的な個人国家を望んだ人達との確執。
それを望んだ人達が「ミュール(mule)」頑固者。何かを運ぶ為には、あえて分断していたほうが都合が良いのでしょう。
「ミュール ヴァリエーション 」トム・ウェイツ
ミュールといえばパッと思ひ浮かべるのはこのアルバムです。具体的な意味はわからない。タイトルの言葉の響きが好き。「ウォーキングデッド」でも楽曲が劇中で使用されています。亡霊のような印象のトム・ウェイツが写ってるジャケットがいい味出してます。アルバムを聴き込んでいくと今のポスト・トゥルースや中身のない自分に問うような楽曲が多いことに気づく。タイトルは「いつまで意地はってんだ」って言ってるようにも思います。人は常に変わらなければいけませんね。頑固者のままでは他者が離れていきますから…
ヒッグスは他者(他プレイヤーの座礁)をヒッグス粒子のように自分に同化させた瞬間、他者ではなくなります。つまり、肉体は他者の抜け殻しか残らない。西洋的侵略と搾取をヒッグスが行うことでプレイヤーであるサムは搾取される側を疑似体験するのです。これが上記①の遊びが終わった後に残る死体。死体回収班が回収しブリッジズ本部へ届けサムが家族へ届けて成仏させる。サムの能力です。
分離破壊主義者ヒッグスの2面性、2つ目。多重人格者。
つまり、上記で考察したように、その他大勢の他者が次々と入れ替わって肉体を乗っ取る。オルト=オルタナティブ(代替)ということです。中身が入れ替わるので本人は憶えていない(Demens:痴呆)。
HOMO + LUMO = フロンティア軌道
HOMO(最高被占軌道:電子に占有されている最も高いエネルギーの高い分子軌道)
LUMO(最低空軌道:電子に占有されていない最もエネルギーの低い分子軌道)
分離破壊主義者とは電子レベルでも格差があり、これらが団結するようになると、時代が逆行したような精神性(攻撃的/排外的)になる反逆分子集団のことです。インターネットという新たなフロンティアを行き来する者です。
この格差は下記のネトウヨの項目で後述します。
ここで先述した疑問点。設定しておけば勝手に事を成すソーシャル・ストランド・システムなのであればネトウヨに直接経験させることができないのではないか?
その苦い経験を担うのがサムということです。黄金仮面の男とサムは表裏一体。もう1人の自分。右手をサムに例えると、重ねられないもう1人の自分が黄金仮面の男(ヒッグス)。鏡像です。この鏡像がデス・ストランディングを紐解くヒント。段々、デス・ストランディングが何か近づいてきました。
つまり、何かの拍子に自分もネトウヨやテロリストの思考に引き寄せられるかもしれないということも表しているのです。だからこそ経験するのです。
「アラバマ物語」の人権派弁護士の父親がいつの間にか白人至上主義者になっていたということを考えると自分にも起こりうることなのです。無知なゴミクズではないアッティカス弁護士であったとしても人が変わってしまう可能性があるということです。恐ろしい!
その経験をする場が「地獄(ハデス)」。考察①〜⑥で考察したサムの能力とも関連します。
地獄とは現実の世界。私達の世界のことです。ティーザーで映し出された戦場の真っ只中に放り込まれる感覚は地獄以外のなにものでもありません。
また、人の置かれた立場や宗教によって地獄の捉え方も変わってきます。職場や学校でいじめられたり、差別されることも地獄です。誹謗中傷や冤罪や痴漢にあうのも地獄。家族が亡くなるのも地獄。階級や格差。性差別。貧困。現実の世界は地獄だらけです。
仏教的な概念では因果応報(karma)も日頃の生活で感じることができます。善行も悪行も最終的には自分に返ってきます。
地獄(ハデス)とは、他者に対して何が正しいことで、何をすれば喜ばれるのかを考え行動する場。遊びを通じ経験を積み重ねることで人として成長していく。他者から見えないことをいいことに誹謗中傷し論破したつもりに浸っている自己陶酔型のクズが弱者に優しい常識ある人へ変わる。人は変われると信じてます。
「見たいものだけを見る」のではなく「見たくないものも見ること」。人の痛みを知り他者を傷つけない心(魂)にする作業をサム(衆生)にさせる。
つまり、プレイヤーである私達自身を浄化(清い心)するゲームなのではないでしょうか。
段々近づいてきました。
デス・ストランディング
デス・ストランディングは、18禁(Z指定)ですので現実に起こった歴史をプレイヤーに見せると予測します。上記の「サウルの息子」「普通のひとびと」の悲惨な描写が思い浮かびます。恐ろしい。
「妄想や思い込みに浸ってないで現実を見ろ!」と言われているような感じになると思いますよ。
出た! これです! 妄想や思い込みに毒された思考によってヘイトや排外主義、暴力装置へと変貌するネトウヨへの警告。ネトウヨに成り得る可能性ある予備軍への警鐘になるのです。
デス・ストランディングとは、「事実を直視できないのであれば見せてやるよ!」ってことです。
つまり、これまで考察したことから紐解くと、サムとノーマン。サムとヒッグス。平行世界。パラレルワールド。そして、鏡像。ミラーワールド。
ゲームはユートピアやディストピアを描いたファンタジーです。ゲームは次元の違う仮想空間で現実逃避する為のものであるならば、本来、現実を持ち込んではいけないもの。この考え方も取っ払ってしまうのです。
先述しましたが「不安と鬱屈」にさいなまれたかわいそうな人たちが増大し、その「不安と鬱屈」の埋め合わせをする為に、「排外的/攻撃的」な行動を取る手段として利用されているのがインターネット。事実を別世界のこととして捉え、見たいものだけを見ているだけなのです。結果、「不安や鬱屈」の埋め合わせを、まるでゲームをするかのように「排外的/攻撃的」行動をしてしまう。
現実と虚構の境が無くなっているのであれば虚構じゃなく現実を見て考えるということです。
地獄(ハデス)という事実がゲーム内に実存しているから、それをミラーワールド(デス・ストランディング)で体験してもらうこと。ゲームの世界の鏡像とは現実世界のこと。
地獄(ハデス)とは、サタンと同義語。教会の敵。死後の世界であり、肉体的な死と最後の審判の場です。
ユートピアもディストピアも造語。虚構。無の状態なのにtopos(議論に関しての事柄や話題を発見する場所)だけはある。無垢な場所。
[u (無) + topos (場所)]
[ dys (悪い) + (u)topia (理想郷) ]
教会の敵でもあるオルト・ライト(分離破壊主義者)が繰り広げる混沌で鬱屈した地獄の世界で重要な事柄を発見する場所。
ハデスであり、これがデス・ストランディング。
デス・ストランディングとは、インターネット時代の新たな教義の場(dogma)。ゲーム内の生死の間にある特別な場所。
按配とは、「富の再配分」だけでなく「知識や教養」「道徳心」を共有することでもあるのです。そのデス・ストランディング(ミラーワールド)という教義の場で各プレイヤーが情報を共有し助け合うのです。
考察①〜⑥でも述べた、「喜びと苦しみを按配(アンバイ)すれば神聖な魂の着物になる」とは、ゲームを進めていく教義(ハデス)の過程で身につけた教養をPS4と同期したデス・ストランディング専用のアプリをスマートフォンにインストールし持ち歩くことで、正しい教養を身に纏うということです。最強ですね。
アプリをPS4と同期させることでデータの更新ができます。
口八丁手八丁のネトウヨにならない為の知識を身につけるということです。
ネトウヨ的な行動をすればゲームオーバー。魂が浄化できるまで何度もトライしましょう。
地獄(ハデス)は激ムズになると思います。ヒーローじゃあるまいし戦場で生き残れるはずがない。たとえゲーム上級者が武力で勝ったとしても、その先に餓死が待っているかもしれません。そもそも戦争はやってはいけないことです。
ゲームシステムも、すぐお腹減ってスタミナが減ったり水分の消費も早いと思います。マラリヤや食中毒、味方の流れ弾。餓死。。。。戦場に逃げ場はありません。
私達はスーパーマンでもマリオでもマーベルヒーローでもないのです。賢い奴なんかいません。馬鹿で間抜けでズルい人間です。
だからこそ18禁じゃなきゃできません。そもそも途中で強制終了させられるかもしれませんね。
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「普遍的な欺瞞が蔓延している時代においては、真実を語ることは革命的な行いとなる」 ジョージ・オーウェル
海外のコミュニティサイトReddit。有名な著名人が論文を投稿したり質疑応答したりしています。
あるページにジョージ・オーウェルのこの言葉をトップ画面に掲げているサイトがあります。オルト・ライトの思想のもととなった暗黒啓蒙という思想。オルト・ライトからすれば教義になるのです。
中心人物は……3名。
ピーター・ティール
スタンフォード大学卒(専攻:哲学)。ゲイ。
オンライン決済サービス「PayPal」共同創業者。シリコンバレーのドン。
フェイスブックの古株投資家。
暗号通貨の技術に貢献し、その暗号化の技術はフェイスブックを生み「アラブの春」「ウォール街のオキュパイ運動」にも貢献。ネットの制限がある国では情報が発信されず「アラブの春」は長続きしませんでした。中東に平和をもたらすどころか「イスラム国」を生むきっかけを作ってしまう。
新反動主義にホラー(霊感)を持ち込んだリバタリアン(自由主義者)。
終末思想に傾倒。海上入植に出資。
先述した、進化論に紐付けされた優生思想者。この思想が、寿命延長事業/AI技術/シンギュラリティ事業への出資に繋がります。
自律分散型インターネット構築システム発案者カーティス・ヤーヴィンに出資。
ジョークで始めたネット上の誹謗中傷がウケ狙いで済まなくなくなった。たしかに暗号化技術への貢献度は認めます。しかしね。。。。
そして、ニュージーランドに移住。っと思いきや租税免除が功を奏し世界の億万長者をニュージーランドに呼び寄せている(ここでもまた税金絡み)。それを知ってて移住してますよね。アホな振りして計算高い。切れ者ですよ。また何か企んでますね。
彼の思想の根本は、「主権ある個人」です。彼の発言した「自由と民主主義は、もはや両立しない」は下記のヤーヴィンやランドと紐付いていきます。
現代の実在する都市伝説といった印象です。
カーティス・ヤーヴィン
シリコンバレーの起業家。エンジニア。
「自律分散型インターネット構築システム」発案者。これは各個人がプラットフォームであり、ひとつの国家として独立したネット環境を有したシステムとして考案しました。まんま「Winny」ですね。ネットはまだまだ脆弱で人が完璧に取り扱えない物ですから、今はまだすごく危険ですよね。国が関与できなくなれば西部開拓時代に逆戻りです。いや、それ以上の無法地帯となるでしょう。
ブログ上で、後に「新反動主義」に至った思想を展開するのですが、これが後々のピーター・ティールに繋がっていきます。
ピーター・ティールがシンギュラリティやAIに出資するのは、自身の思想と共鳴するヤーヴィンの影響もあるからです。その思想とは、進化論に紐付いた優生思想です。
進化論に紐付いた優生思想とは、黒人は白人よりも劣っているから云々。勝手に決めんなや!って思いますよね。なんの根拠もないクズの思想です。
つまり超越的な人類として進化すること。ウォルト・ディズニーやアドルフ・ヒトラーも超越的な力を手に入れたいと考えてました。都市伝説的で気持ち悪くなります。
現在は中国の上海に移住。出版業をしているようです。中国経済と関わっているかどうか、信じるか信じないかは貴方次第。中国から何か発信するとは思います。
ニック・ランド
イギリスの哲学者。「加速主義」を提唱。
加速主義とは、
- 政治や経済の革新を促す為に資本主義システムを拡大すること。この革新を抑制しているものを克服するのが目的。哲学者ジル・ドゥールーズやフェリックス・ガタリの「脱領土の理論」の影響下にある。ピーター・ティールが海上入植に出資しているのはニック・ランドの影響です。
- 資本主義を深化させること。自己破壊的な傾向を早め、最終的にはその崩壊に繋がるということ。言ってる事が難しいですね。もっと簡潔に言うと…社会/経済/政治が崩壊した安倍政権は、いずれ破滅するであろう。それならば傍観し崩壊するまで放置しておこうとする考え。今がそれ。年金返してくれ。
資本主義の外側へ。脱資本主義。資本主義のその先へという意味。マルクスやニーチェの影響もある。だから、ヤーヴィンの新反動主義や優生思想もニーチェの超人論が影響されている。
イギリスのEU離脱(Brexit)は脱・グローバル。資本主義からの脱出。資本主義のその先へ。少なからずイギリスの支配層はニック・ランドに影響されているでしょう。(否定はすると思います)
右派加速主義は、資本主義を強化しシンギュラリティを推し進めること。ニック・ランドやピーター・ティールが推し進めています。
左派加速主義は、保守的な考えで技術が行き詰まったら技術革新し新たに再目的化していくこと。資本主義と技術革新は両立しない事を定義しニック・ランドからは資本なくして技術革新なしと批判されています。
ニック・ランドは、「新反動主義」から様々な思考の変遷を経て「加速主義」「暗黒啓蒙」へ結びついていきます。
シリコンバレー
上記3名の思想がオルトライトを産んだとも言えます。トランプの側近だったスティーブ・バノンも影響を受けておりトランプの選挙でネトウヨを取りまとめていた。バノンは、元々映画プロデューサー。ショーン・ペン監督「インディアンランナー」を手がけた人。自身のインターネットサイトでの発言が共和党支持者に評判となり、選挙用の宣伝VTR作成で雇われ共和党のブレーンまでになります。トランプが選挙に勝ったら解雇されます。今は講演で忙しいようです。先日も日本で講演しましたし、フランスでは国民戦線党の集会にゲストとして呼ばれていました。オルト・ライトを利用する勢力の元締めは何なのでしょうか?
ピーター・ティールの言葉「主権ある個人」も引っかかります。リバタリアン的な個人国家を形成して協力し合っているだけなんじゃないか?
実体の無いもの、つまり、実在しない者を設けて従わせているだけなんじゃないかと思います。安倍晋三への忖度然り。
デス・ストランディングも実体のない者に振り回されるのではないでしょうか。
彼ら3人はシリコンバレーのインテリとイギリスのインテリで社会的にも地位ある人達。
彼らが提唱する思考は半分ジョークや皮肉を込めた一面もあるわけです。意識高い系のジョークなんです。元祖炎上ビジネスかもしれません。
オルト・ライトは自分達の思想を正当化する為に彼らの思想、つまり、得体の知れない物。それ(IT、THING )を利用した。彼らが煽り。狂った人が学校や公共の施設で銃をブッ放す。日本でも包丁を振り回して弱者を殺めた痛ましい事件がありました。先述したように、インターネットという新たなフロンティアを行き来する者を生み出してしまったのです。
ネトウヨ
アメリカ合衆国と日本のネトウヨの共通点はネット活動がベース。
日本のネトウヨの場合、在日韓国人によって自分が何かの被害を被ったとか皮膚感覚なしで差別的な主張をしています。妄想がSNSを通じ拡散し、それを信じてしまう人達。要するに無知の戯れ「民主党がー」「在日がー」「韓国がー」って根拠がないことを言うだけ。そのくせアメリカのような強い相手には何も言いません。
アメリカでは移民が実際に問題として存在しています。「移民のせいで職が奪われた」「移民がテロを起こした」というような直接的な不満があるのです。政策が悪かったのは事実としても増え続けるネトウヨを抑えられない現実に直面しているのです。しかも銃社会です。
日本のネトウヨ層は、定職があり結婚もしている層と生活に困っている層が存在します。
アメリカ合衆国のオルタナ右翼も反グローバリズム運動を起こしホワイト・トラッシュと蔑称されるような貧乏な白人層と平均年収で見ると低くなかったりします。いくつかの層に分かれ格差が生じています。
上記3名が単なるネトウヨかと思ったら大間違いです。インテリですから馬鹿ではありません。コミュニケーション能力も長けている。ある意味、詐欺師的な物言いはします。
では、彼らの怨念のような思想とは、一体何なのでしょうか?
暗黒啓蒙
暗黒啓蒙は小難しいので日本のことも交え、わかりやすく説明します。
上記3名の思想を取りまとめたのがニック・ランド。それが暗黒啓蒙となります。
ピーター・ティールの「自由と民主主義は、もはや両立しない」というテーマが発端。
「腐敗した民主主義からイグジット(脱出)する」というリバタリアン(自由主義)の思考とカーティス・ヤーヴィンの「新反動主義:自由にとって民主主義は、もはや悪である」という政治思想が出会う。
フランス革命にも影響を与えた「啓蒙思想」へのアンチテーゼ。民主主義を否定した思想です。
カーティス・ヤーヴィンはピーター・ティールの海上に自治国家を作る構想を現在のシステムからイグジット(脱出)し、その先のビジョンとして見通していました。
ヤーヴィン曰く「民主主義を、さっさと終わらせて国家は企業のように運営されるべきだ。君主制にしてトップが全部を切り盛りする。そういう都市国家を乱立させて別の都市国家に自由に移れるようにする。すると都市国家どうしが競争原理で発展するから、資本主義の原理で国家を運営すればいい」
この思想が、主権ある個人、民主主義に変わるオルタナティブ(代替)な国家、その新たな国家を管理するシステム「新官房学」となり、「自律分散型インターネット構築システム」へ紐付いていきます。リバタリアン的自己所有権です。それをネット内で個人の国家として運営していくのです。ヤーヴィンはそのトップにスティーブ・ジョヴスとイーロン・マスクを想定してました。雲行きが怪しくなりましたね。
ヤーヴィンはさらに、カテドラル(大聖堂)という造語を導入して、この後、リベラル民主主義批判をします。
「民主主義はポピュリズムで規制も激しく、リバタリアンからすればディストピアだ。そもそも、今のような状況になったのはフランス革命の啓蒙思想に端を発していて、平和、平等、博愛という伝統がピューリタン(清教徒)的カルヴァン主義の思想に宗教が結びつき、教育機関/メディア/政治/経済にはびこっている。そういったエスタブリッシュメント(支配層)が奉じるリベラル思想のネットワークを、カテドラル(大聖堂)という。」
病んどんなぁ。このおっさん。
要は、アメリカ的なもの、民主主義や資本主義、啓蒙思想やフランス革命が大嫌いなんでしょうね。専制君主の復権ですよ。安倍晋三が掲げる明治維新復権と似てますよね。しかも「懐古主義」で伝統云々も言ってます。これも同じ。
ピューリタンはアメリカに入植し国営教会を廃止し民間団体として教会を自由市場化しました。自由な競争という理念をアメリカに根付かせたからこそ今のアメリカがあるのです。なのに個人が優先だと言ってる。極め付けは…
ヤーヴィンの思想の専制君主のトップとはAIときました。進化論に紐付いた優生思想が作用し、シンギュラリティ後にAIが神となることを想定。つまり、人は神にはなれないがシンギュラリティによってAIである神と繋がることができる。精神で繋がっているということです。ここまでくると「攻殻機動隊」「マトリックス」が頭をよぎる。ジョークか?本気で思ってるのか?と思いますよね。出資者は本気なんですよ。
さらに「平等主義」の否定。専制君主ですから神が絶対です。全体主義と個人主義がここで出会うわけです。矛盾だらけです。妄想か!
そのうち安倍晋三も「あの忌々しいカテドラルがー」って言いそうですね。あっ、もう既に「あの忌々しい悪夢の民主党がー」って何回も言ってますね。支持者受けするだけの物言いを公共の電波使ってまで言うことかと思いますね。
ピーター・ティールがインタビューで「私が思うに日本は理想的な管理された国家。」
日本で上記を実験してるんじゃなかろうか?!
これらピーター・ティールとヤーヴィンの思想を取りまとめ、「暗黒啓蒙」としたのが、ニック・ランド。80年代の糞ゲームみたいなダサいネーミング。
海外の有識者、ならびに学者の多くは否定しています。中国出身の哲学者ホイ・ユクは「不幸な意識」とバッサリ切り捨ててます。これは、ヘーゲルの「精神現象学」の中の一説です。
要約すると、「新反動主義者にとって啓蒙思想とは、自己意識にとっての異物(他者)なのだ。それは薬であり毒でもある。認識はされず感覚で止まっている。この不幸な意識からの無益な脱出の試みが新反動主義を病理的なまでに混沌とした思弁的迷宮へ傾斜させているということ。」
まんまネトウヨの思考だと言われてますね。
ポスト・トゥルース
2004年開催された「イラク戦争報道」をテーマにしたアルジャジーラ主催の国際会議に全世界からジャーナリストが集まりました。
その会議には、勿論アメリカのFOXの記者も出席しており、アルジャジーラの記者に対し「あなた達は嘘ばかり垂れ流している」と発言しました。FOXといえば、共和党やネオコン、ブッシュ政権を支持しているメディア。つまり、イラク戦争報道の元凶です。
それを受けてアルジャジーラの局長は、「真実というのは、人種、価値観、文化的背景で姿を変えます。いったい何が真実なのか。それならば、ひとつの意見には、必ず別の意見があるということを伝え続けるべきだと考える。それが私たちの報道姿勢です」
会場全体からは大きな拍手が沸き起こりました。
アメリカ大統領選挙、EU離脱(Brexit)は、報道だけでなくSNSも含め、フェイク(嘘)の概念とトゥルース(真実)の概念がせめぎ合っていました。どちらも相対的で表裏一体。
ニーチェ曰く「事実はない。あるのは解釈だけだ」
つまり、様々な解釈を聞き、それら解釈を整理して一方的な解釈に囚われないよう私達も伝えていくということです。見たいものだけを見るタコ壷状態にならないよう努めることが重要なのです。
オックスフォード大学出版局は、2016年のワード・オブ・ザ・イヤー、日本の流行語大賞のような催しに「ポスト・トゥルース(post-truth)」が選ばれました。
ポスト・トゥルースとは、「世論の形成において、客観的事実の影響力が、感情や個人の信念に対する訴えかけに劣る状況を意味する。またはこのような状況に関する形容詞」と定義されています。
要約すると、「客観的事実が重視されず、個人の感情的な訴えが重視され物事に影響を与える状況」のことです。「脱・真実」「真実の終焉」とも言われています。もはやホラーです。
小島作品のホラーといえば「P.T.」です。何が真実で何が嘘なのかわからない状態に陥ります。つまり……
P.T. = Post Truth
The Horror (ホラー)
デス・ストランディングのティーザーに出てくるクトゥルフ神話のような怪物に関しては、考察①で、そもそも何者でもないマボロシで人種/宗教や置かれた立場や場所により、捉え方は様々だと定義しました。
今回のティーザーでわかったのは、アメリカ合衆国の分断を描く枠組みの中でクトゥルフ神話のような怪物と分離破壊主義者を読み解くことで、その意味が何かわかることです。
なぜ、ホラーなのか?
日本でも社会が不安になると未確認飛行物体(UFO)/天狗/幽霊/地底人のような都市伝説やノストラダムスの予言のような終末思想がお盛んになります。「マッドマックス」「北斗の拳」「復活の日」「渚にて」「宇宙戦争」…etc
日本のホラーは精神や呪い、村社会的な閉鎖感を描いた内側に向かうものが多い。西洋はクトゥルフ神話に代表されるように、何か(IT、THING)わからないものに襲われる外側からの侵略ものが多い。
つまり、西洋は他国から侵略されるかもしれない恐怖感が古くから根付いていました。時の権力者は民衆の恐怖心を巧みに利用します。煽る為の道具としてホラーを利用したのです。見えないもの(他者)を想定し、いつ襲われるかわからない恐怖心を煽ったのです。
外部からの出現者という恐怖心を煽った中世の支配層/ナチス/ネオコン/カルト宗教(オウム真理教など)/戦前戦中の各国/安倍晋三/オルト・ライトは何かの脅威(核弾頭/侵略/細菌破壊兵器/排除/弾圧))に備える、または、見えない敵からやられる前にやるという教義として利用したということ。
デス・ストランディングに登場するホラー要素は、「ポスト・トゥールース」「暗黒啓蒙」のメタファーでもあるのです。偏向した情報のタコ壷状態とオルト・ライトが偏る思想を表しています。
それが形として表現されているのがBTや黄金仮面の獅子。ネトウヨの怨念を形にしたものです。
とき雨はそれらが座礁することで降る雨。カイラルアレルギーはそれを知らせる着信音みたいなものです。ネットに繋がると降る雨。考察①でとき雨とは、ネットに繋がった状態を表し、とき雨が降ることでクマムシの遺伝子を持つBTが水分を得て活性化し動き出すとしました。
つまり、オルト・ライトが騒いでいるぞという警告です。
BTが蠢いているのは、ネトウヨがキーキー騒いでいるさまを表現し、とき雨はネットで繋がっている状態を電波が降り注いでいるさまを表現しているのです。静かに忍び寄り排外的な攻撃をしてくるのです。
インターネット時代のホラーですね。貞子もある意味ネトウヨの怨霊みたいですよね。
死
考察①で、フランシス・フォード・コッポラ監督「地獄の黙示録」にも触れました。その際…ウィリアム・ブレイク「無垢の予兆」にも触れ……
「喜びと苦しみを按配(アンバイ)すれば神聖な魂の着物になる」
死の表現としてThe Doors(ドアーズ)の楽曲THE ENDが使われていると記述しました。
劇中聞き取りにくいのですが、マーロン・ブロンド扮するカーツ大佐が「…horror…」と呟くシーンがあります。何に対してのホラーなのか?何に怯えているのか? そもそも、この映画のテーマは何だ? っと観ているこちらを困惑させます。コッポラ監督曰く「撮っていて、わからなくなった」と。巨匠でも戦争や死、自問自答し、その先の「闇の奥」は誰もわからないと言っているのかもしれません。
闇の奥からのイグジット
ここまで突き詰めていくと、私自身はお手上げ状態です。難しすぎてついていけない。ゲームオーバーです。
しかしながら…少なからず、上記のオルト・ライトやEU離脱(Brexit)、トランプ大統領…etc
……昨今の世相が題材となっているデス・ストランディングということです。
ネトウヨといえば、私の大好きなThe Smith のボーカルだったモリッシーがネトウヨになっていてビックリしました。一部のレコード屋では販売拒否しているそうですよ。キャリア台無しじゃないか。
考察⑦を池上彰風に言えば、「アメリカが抱える問題を知れば世界がわかる。」
当然、日本のことも知ることができます。デス・ストランディングは諸々勉強になるのでオススメします。
考察⑦の参考文献
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