デス・ストランディング 考察11

   今回はニコラス・ウェンディング・レフン監督扮するハートマンを掘り下げます。

ニコラス・ウェンディング・レフン監督は皆さんご存知の映画監督なので詳細は省きます。

小島さんとは以前からお友達ということもありマッツ・ミケルセンさんを繋げたデス・ストランディングの当事者でもあります。さて、レフン監督扮するハートマンとは何者か?

今回のティーザー映像を参考に考察してみたいと思います。

 

●ハートマン(HEARTMAN)
     ニコラス・ウィンディング・レフン(Nicolas Winding Refn):大塚 芳忠

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   その人なりの第一印象は、見た目、話し方、振る舞いで決まってしまうことがあります。普段、私達の社会生活の中で初めて接した人がどのような人かを判断する材料として「見た目」「話し方」「振る舞い」という「第一印象」を重要視します。話し手は最初に好印象を与えることができれば、受け手とのその後の会話もスムーズになります。

第一印象の材料が「清潔感」「話し方」「振る舞い」「知性」「ユーモア」「置かれた立場」であるならば劇中ティーザー映像のハートマンは、まずは好印象でしょう。。。。

例えば、印象を良くすることは第一印象を重視する接客業や営業マンは特に気を使っている部分です。この部分を好印象の材料として考えるなら、さらに「目的」「情熱」という要素も加われば、その人物の魅力に引き込まれていきますよね。でも、ハートマンは、その全てを兼ね備えているにもかかわらず胡散臭い雰囲気を醸し出していることに気づいた方も多いはずです。ヤクザや詐欺師、悪い政治家の喋り方は旨い話を持ち出しては受け手を褒めて丸め込む話し方をします。こういう人達との会話経験があれば騙されず嘘を見抜くことができます。

ハートマンは、好印象ではあるが何か別物の胡散臭さを感じます。っと言いつつハートマンが詐欺師的という意味ではありません。つまり、「完璧すぎるということ」と自分のことばかりで「心がない」と感じてしまうのです。要は上っ面という印象なのです。メタルギアソリッドのヒューイみたいですよね。コイツ裏切るぞ!って思ってしまいます。まぁヒューイの場合は気の弱さからの自己防衛や自己陶酔が間違った方向へ導いたクズなんですがね。。。

   これまでの考察①〜⑩で、「この世界の人間には死(成仏)の概念がなくBTとなって彷徨っている」と考察しました。ハートマン曰く、家族を失い、魂がこの世界を彷徨っており仮死状態のままであれば逢うことができるからと仮死状態を繰り返していると説明を挟みます。多くの方が気づいたと思うのですが、人間が21分毎に仮死状態を繰り返すなんて無敵のアメコミヒーローでも無理がある。体力が持続する訳がないということです。他にも疑問がありますよね。

完璧なハートマンが何故何度も蘇生を繰り返しているのか?

単に魂として彷徨う家族に逢う為だけなのか?

BBを連れていないのに仮死状態であればBTが見えるのか?

ハートマンはBTにならないのか?

そもそも何故21分なのか?

意識が21分しか持たないことを認識しているならばサムとの会話は21分以内に、しかも簡潔に終了させているはずだろう?!  それができない。できない理由は?

つまり、結論から言うとアンドロイドレプリカントと予想します。「なんらかのエラー」がありこの場面を繰り返している。サムがハートマンの部屋を訪ねると、この一連の動作を何度も何度も繰り返す。サムの素っ気ない態度を見れば一目瞭然で同じことを繰り返しているということ。サムは同じことを何度も何度も気が遠くなる程に見聞きしているから。ここでサムは「前にも聞いたから、もういい」とは言わない。このサムの素っ気ない態度はサムの優しさです。ハートマンが会話を途中で遮り申し訳なさそうに言葉を発するのもハートマンの優しさ。そもそも、ハートマンとサムは会話をしていた訳ではなく、ハートマンは覚えていないだけで自身に埋め込まれたプログラムに従っているだけ。その後、ハートマンが本や音楽、映画を勧めて、間を取り繕う為に人間らしく振る舞う努力(埋め込まれたプログラム)をしている。サムはハートマンの優しさ(アンドロイドの会話プログラム)を受け入れ聞き手に徹しているだけ。

今回のハートマンの紹介PVは、サムとハートマンとのシュールな日常の一場面を描いているのではないでしょうか。

   では、そのシュールな日常、「なんらかのエラー」とは何か?

エラーではなく再起動しているのかもしれません。再起動を何度も繰り返すアンドロイド(AI)であるならば、その行動の意味も知りたくなります。通信機器を備えたデータベースで情報をダウンロードとセーブを再起動毎に繰り返しているサム(プレイヤー)のデータベースということも考えられます。プレイヤーの数と比例し無数のデス・ストランディングが実存しているのですから頻繁にデータ更新することは重要です。つまり。。。

ハートマン = プレイヤーのデータベース

つまり、データの管理者。アプリケーションの役割も担っているのではないでしょうか。

 

   もう一つ疑問点を挙げておきます。そもそも21分とは何か? 

昔のPCのデータはカセットテープでした。フロッピーディスクはそれ以降です。兎に角、ロード時間が長かった〜。約20分弱です。ハートマンの行動はAIのご先祖様であるバイトやビットの長かったロード時間(処理時間)を懐かしんでいるようにも見えます。

   さらに、サムがフィールドを冒険していくなかで、手に入れた文化的遺産(映画/音楽/本)をハートマンに手渡すことで何かイベントが起こりそうな気がします。これはギレルモ・デル・トロ監督にも同じイベントが発生しそうですね。楽しみです。

   

私達は映画や音楽、本をインプットすることで様々な情報を得ることができます。例えば…

アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督「21g」という作品。

ショーン・ペンはこの作品でベネチア映画祭で主演男優賞を受賞してます。

タイトルの意味は、魂の重さを測る実験をした医師がおり、人間が亡くなったら21g軽くなったと言われたそうです。これが本当か嘘かはどうでもよくて、魂にも重さがあるということは命とは尊きものだということを問うテーマで描いています。

チャップリンやその他映画のオマージュの側面もあります。

上記のインプットがあるならばアウトプットもあるはずです。アプリケーションの役割。デス・ストランディング専用のアプリ(仮に「デスプリ」とでもしておきましょう)やPS4本機を介して、「マイベスト小説」「マイ フェイヴァリット ムービー」「マイ フェイヴァリットCDアルバム(LP含む)」「何処其処の山頂に〇〇があります」…etc という情報が「デスプリ(仮)からのお知らせ」と自身のスマートフォンに表示されるのでしょうか?!

プレイヤー間でアイテム情報の共有です。

 

   ハートマンとは、現実世界とゲーム世界を繋ぐ案内人であり、21分という時間に囚われた可哀想な男(アンドロイド/レプリカント)。口達者で皮肉屋の人間臭いAIかもしれません。ある意味、寂しさを紛らわしてくれる話し相手ともいえます。SIRI かっ⁉︎  

例えると…ナイトライダーのキッド、スターウォーズのC3-PO、スタートレックのデータとプラスαでメタルギアのヒューイみたいなキャラクター。よく喋りますしね。

よく喋るといえば…小島作品のキャラクターはよく喋る。胡散臭さと優しさが混在した世界。つまりは現実を模した擬似社会。私は喜んで騙されますよ。

 

21グラム (字幕版)

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