デス・ストランディング 考察20 クリア後の感想 サムとクリフ。BBについて

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 サムとクリフ。そして…BB

 謎の人物クリフが何者なのか。クリフの妻である脳死状態の母親から取り出された息子サムをポッドに入れて育てている男としてサムの記憶から少しづつ紐解かれていきます。これらはサムがポッドと繋がることで失われたサムの記憶として蘇ってきます。ここでサムの生い立ちもあきらかになるのです。サムはクリフの子供であること。この演出は遊び心ある良い演出ですね。技術的な面が素晴らしい。

 小島さんは、サムとクリフ。BBという三位一体を表現しているのです。

考察①と④で、三位一体の表現として、ゲームの創造主小島さんが父、子がサムでありノーマン、精霊がBBと考察しました。

サムとクリフの考察の前に、あえて、何故、父が小島さんであるべきかをお話しします。

 某ゲーム会社で外との通信を奪われ、監禁状態だった際に、ゲームアワード表彰式を欠席。司会者ジェフさん(デスストランディングのプレッパーズとして登場してます)は、某ゲーム会社を非難し小島さんを励ましていました。この状態はサムでもあるBBや軟禁状態のアメリとも重なります。この状況を自虐的にゲームに落とし込めばよかったのです。つまり、自虐ネタです。庇ってくれた方や励ましてくれた方へのお礼の返答になるからです。整った舞台があるのに勿体無い。ジョーカーになり損なったと思いますよ。父とはゲームの創造主である小島さんである理由がご理解頂けたかと思います。

 では、クリフは何かといえば、劇中で語られるサムの父親でBB奪還に執念を燃やす呪いのような存在として描かれています。ママーとクリフの共通点は親であるということ。その親としての描き方としては、BBがいるからママーの魂を肉体に繋ぎ止めていることとBB(サム)奪還という執念がクリフを実体化させているということ。全てはBBが繋ぎ止めているということ。では、BBすなわち、子と精霊は何かということ。

サムがBBなのは理解できます。BBは何かと言われると、答えが出ないのです。プレイヤーに託したい想いのような何かであることは掴めるのですが、ハッキリした答えが出ない。ルーはサムの子供。クリフからサムに託された子孫です。受け継がれる宝ということ。デスストランディングの最大の宝は子供であるということ。ここまでは理解できます。

考察18で、小島さんの内面が描かれていると考察しました。アメリが軟禁状態であることは某ゲーム会社との亀裂を描いています。ゲームを作品として届けることができないもどかしさをサムに託し、小島さんが作るゲームという作品がBB(文化)でありプレイヤーとの接点であるように思うのです。クリフは、小島さんのゲーム制作者としての自尊心やプライド、自信の表れのようなもの、ナルシズムのようなものを形にしたのがクリフです。BBは小島さんの子供。つまり、ゲーム(作品)です。別の意味では文化です。

 クリフに関して、BB奪還に執念を燃やす怨霊のような存在であること。限られた世界観なのですから、サムが子供であることは魂で感じ取ることができるはずなんです。サム側に付いてサムを導く存在にしなければ単なる怨霊のようなものになってしまいます。復讐するなら結果はどうあれ復讐させるべきだったと思います。アメリが蘇らせた怨霊のような存在。ゲームを思うように作らせてもらえなかった悔しい心象。つまり、考察18でも述べたように小島さんの内面を写し出したキャラクターです。

 サムはプレイヤーでありノーマン。ゲームを届けたかったもどかしさの表れです。

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 クリフのキャラクターの作り込みもヒッグスと同じく深堀りが足りません。もっと深く掘り下げるべきです。クリフの場合は、家族愛として掘り下げてほしかったと思います。ドラマ性が薄い要因は家族愛を掘り下げていないということです。マッツの演技を自分に重ねているナルシズムを感じます。ここは抑えるべきですね。